パ・リーグ連覇へ揺ぎない「マネジメント采配」 ~日本ハム栗山英樹監督の魂掌握術~

更新日:2017年7月11日
野球

連続日本一へ多難なスタート・不運が続いた栗山ハム

今年のペナントレースが開幕してから3ヶ月余り。セ・パ交流戦も終わり、後半戦に入ったプロ野球。 そんな中、昨年日本一に輝いたパ・リーグのディフェンンディングチャンピオン・北海道日本ハムファイターズが 一進一退の戦いを続けています。

怪我で侍ジャパンを辞退した“手負いの二刀流”大谷をバッターに固定して 開幕を迎えるも、チームは波に乗ることなく、4月26日には球団史上12年ぶりの10連敗を記録。その後、好調を キープしていた打者・大谷が肉離れを発症、くわえて主軸の中田・レアードのバットは揃って湿りっぱなし。采配を 奮う栗山英樹監督には、気の毒とも言うべき逆境が重なった、開幕からの1ヶ月あまりでした。

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それでも『俺が悪い。勝たせてやれなかった。』 ~選手本位は不動~

勝利目前で1球に泣く投手陣。あと1本が出ない打撃陣に、大抜擢のチャンスを生かしきれない一軍半の若手組。やもすれば、不協和音を奏でても当然の、どんよりとした雰囲気が漂う中、敗戦後に栗山監督が搾り出す言葉は、 終始一貫ひとつのフレーズを用いるのです。

『俺が悪い。勝たせてやれなかった。』

そこに選手の名前を挙げつらうことを決してしない、栗山監督。解説者やファンからは『また同じフレーズか…』 という声、『もっと選手を厳しく叱責しないと』といった論調もみられますが、今年で6シーズン目、徹頭徹尾この スタンスは変わりません。そこにあるのは、“選手・栗山英樹”が激動の野球人生で体得した『選手本位』でした。

メニエール病を患い、29歳で引退した『俊足好打』の努力人。

1983年、東京学芸大から入団テストを経て、ドラフト4位でヤクルトスワローズ・栗山英樹が誕生しました。 入団直後は、レベルの違いに圧倒されていたものの、翌84年のルーキーイヤーには内野手として1軍デビュー。 しかし飛躍を期した2年目、平衡感覚に狂いが生じる難病・メニエール病が突如襲います。一時的な治療などで 何とか乗り切るも、シーズンオフには長期入院を余儀なくされました。

その後は俊足を生かすため、猛練習の末スイッチヒッターに転向、88年には1番センターとしてレギュラーに 定着すると、規定打席には届かなかったものの、初の打率3割超えを記録しました。しかしながら、さらに脂が 乗り切っているはずの2シーズン後・29歳を迎えた1990年、『俊足好打』の努力人はユニフォームを脱ぐのです。 メニエール病の症状悪化と右肘の故障再発。あまりにも早すぎる、現役との別れでした。

『自分の経験だからこそ』 ~知識と根拠と愛情と~

引退後は、野球解説者やスポーツキャスターとして、様々な取材を経験し、母校・東京学芸大では講師を務めるなどその博学ぶりを披露しました。結果、野球をさまざまなアングルから眺めたことで『一生かけて野球と生きて生きたい』という思いが固まったと、栗山監督はその当時を、自著の『栗山魂』でも振り返っています。

唖然としたプロのレベル、レギュラー定着を阻み、引退を余儀なくさせたメニエール病。絶望の連鎖ともいうべき これらのシーンですら、当時からそうはとらえていなかったのです。

『目の前の状況には事実には、プラスもマイナスもない』 『事実を次へのプラスに置き換え、どんな意味と根拠があってそれが起ったのかを考え、そして再び動く』

まさ哲学とも言うべき信念の芽生えです。自身だからこそ見えた景色と、努力して究めたプロで生きていくための道。監督となった今、全身全霊で選手に熱意と愛情を注ぐスタイルこそ、志半ばにして選手生命を終えた自身を投影する、決してぶれることの無い栗山采配の真骨頂なのです。また栗山監督はこうも話します。

『僕は選手をとことんまで愛しています。いつまでも片思いです。それでいいんです。』

ショウヘイ(大谷)、ショウ(中田)、そしてケンスケ(田中)。選手を必ず名前で呼ぶそのこだわりこそ、 心の奥底を束ねる究極のマネジメントと“永遠の片思い”なのかもしれません。

魂掌握術で第二章はこれから。

首位からはまだまだ水をあけられている今の星勘定。しかしながら去年は、6月に最大11.5ゲーム差あった大差を 跳ね返して、ソフトバンクを追い越し日本一に輝きました。どうみても逆転不可能な状況でも、まったくあきらめることは無かったと、栗山監督は振り返ります。 『どうすれば逆転優勝できるかを、本気で考え続けた』と。

選手の魂にまでアタックして愛情を注ぎ込み、絶対にあきらめなければ道は開けるということを、自らの過去をその 成功体験として、目の前の今このときに、入魂して道を拓く。

片思いでない相思相愛の『魂掌握術』、そして間もなく開演する 栗山ハム“北の大地発・逆襲第2章”に要注目です。

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