継続かそれとも曲がり角か、13年目の『プロ野球セ・パ交流戦』

更新日:2017年6月6日
野球

今年で13年目『セ・パ交流戦』のそもそもは

2004年、親会社の経営難に伴い大阪近鉄バファローズとオリックス・ブルーウェーブとの球団合併発表に 端を発した、プロ野球の球団数削減案と1リーグ制導入問題。当時、選手会労働組合の会長を務めた ヤクルト古田選手の『涙のストライキ決行会見』は、記憶にも遠くない出来事です。結果、両リーグの統合は見送られ、新たな球団・東北楽天ゴールデンイーグルスが誕生しました。

その一方、『人気のセ・実力のパ』という構図が定着し続ける中、パ・リーグ球団側からの集客強化や経営改善の 打開策として、巨人・阪神というドル箱球団を抱えるセ・リーグへ、試合数限定でシーズン中の対戦を要望し、 そこから2005年に始まったのが、今年で13年目を迎えたプロ野球セ・パ交流戦です。窮地に立たされていた パ・リーグの、まさに『共存共栄』への思惑が漂うなかでのスタートでした。

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前評判を超える盛り上がりと想定外の新鮮味

オープン戦の存在もあり、一部のメディアや解説者からは「さしたる新鮮味も無い」との否定的な意見も挙がりました。 また交流戦の開催によって、満員札止めの観客動員を見込める巨人・阪神との試合数が、実質減となるセ・リーグの他球団からは、反対のスタンスを変えませんでした。 ですが、いざフタを開けてみると、新鮮味満載のシーンをファンに提供しました。

ひとつが、パ主催試合で採用されるDH(指名打者)制度。シーズン中のDH制度を採用していないセ・リーグは、ピッチャーの打順に、 スーパーサブ的な強力バッターをもう1枚上書きする“重量打線仕様”が可能となり、ペナントレースには見られない迫力や采配へとつながりました。

そして昨年は “二刀流”日本ハム・大谷翔平選手の登場により、DH制そのものがナンセンスにすら感じられる“超常識”と無限の可能性が、国内のみならず海の向こうのメジャーリーグにまで、届けられました。

期間限定だからこその『勢いとニューヒーロー』

当初1球団36試合制でスタート、現在は18試合と数が減ったセ・パ交流戦。2シーズン(年間)をかけて、全ての球団がホーム&ビジターそれぞれで試合を実施するスケジュールとなり、 まさに“短期決戦”の様相を呈しています。また“交流戦の乗り越え如何(いかん)”がペナントレースの鍵となることも、過去のデータが物語っています。

カープ女子がスタジアムを席巻した昨年、セ・リーグ制覇した広島は、交流戦で5つの貯金を積み上げました。 “神ってる”鈴木誠也選手の大ブレークやDH制の有無も相まって、期間限定だからこそのニューヒーローも誕生するなど、その勢いで一気にシーズンを駆け抜けました。

これまでの広島は、横浜DeNAと並ぶ“交流戦嫌い”ともいえる苦手ぶりで、両球団のどちらかが、過去12年のうち8度も最下位を“逆制覇”する低迷ぶり。 しかし昨年は5つ勝ち越し、交流戦3位と大健闘、赤ヘル軍団は、この“苦手”を克服して、25年ぶりのペナントリーグ制覇へとつなげて行ったのです。

いっぽうで“交流戦王者”という称号にふさわしいのが、ソフトバンク。通産勝率は6割を超え、優勝回数は6度。 好調ならば勢いを再加速させ、不振で迎えた時にはリセットの場に。交流戦を効果的に機能させることで、抜群の成績を毎年キープしています。 わずか3週間弱の戦いが、再浮上のきっかけにも、落とし穴にもなる。“ペナントレースの関所”、それが交流戦の興味と見どころの一つといえそうです。

『人気のセ・パ、実力のパ』~継続か曲がり角か~

『継続か、それとも曲がり角か』という議論が、一部で再燃しています。パ・リーグ側の36試合制維持という主張に、セ・リーグ側は『パのセ依存体質からの脱却』を要請、 交流戦廃止という強硬論も含めた18試合制の削減案にて譲らず、段階的な試合数減を経て、現在は18試合制となっています。

とはいうものの開催当初と比べ、ファンの視聴環境も、衛星波やネット配信による全試合完全中継の実施などで利便性が格段に向上。集客面でセの後塵を拝し続けていたパ全体の入場者数も、交流戦が始まった2005年と昨年を比較すると、35%増の11,132,526人。現在もセが年間で260万人ほど上回っているものの、以前のようなセの人気圧勝という状況ではなくなりました。

それに交流戦の通産戦績はパの925勝821敗で104の勝ち越し。パ球団優勝が10回を数えるなど『実力のパ』は健在、入場者数の増加率からすれば『人気のセ・パ』という、プロ野球全体にとって、望ましい切磋琢磨の状況に近づきつつあるとも読み取れる状況です。

ファン本位の“もう一つの交流戦”勝利を

干支がひと回りして、2度目の酉年に満13歳を迎えたセ・パ交流戦。試合数の見直しや存続が毎年議論される中、そこにいつも不在なのは、 球場を埋め尽くしてくれるファンの存在です。

今後も空高く羽ばたいていけるかどうかは、プロフェッショナルなプレーの提供はもちろんのこと、球団や選手、スポンサーが、各種イベントや選手と触れ合う機会の提供だけにとどまらない、 ファンとの“真の交流”を通した、顧客本位の“もうひとつの交流戦”に勝利することかもしれません。ファンが憧れ、支えていく『人気のセ・パ、実力のセ・パ』への実現にも、つながっていきそうです。

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